Kの正体






行く当てもなく、二人で辿り着いた場所は、新海公園でした。


そこで彼が公生を捨てようと提案してきたのです。


「僕たちが育てるよりも、誰かに拾ってもらった方がこの子のためになる。」


今考えると本当に無責任な発想ですが、その時は正常な考えを保てるほど、心に余裕がなく、私たちは公生を置き去りにしました。


それから彼は知人の家を転々として小説を書き、私は花の名社に残って、24時間、365日仕事に明け暮れました。


彼から離婚届が届いた時には、28歳になっていました。別居生活が長かったので、私は迷わず判を押して、正式に離婚が成立しました。


その後、彼が再婚したことを知りました。相手は公生と同い年の子供を持つシングルマザーだったそうです。


その子供についても私は知っています。公生と同じ高校で、今は花の名社のカミツレで私の下で働いている坂本という男です。