私は、キョトン。

矢田も、キョトン。

取り巻きも、キョトン。

隣にいた私の友達も、キョトン。

すると、男性はにっこり笑ってそのまま立ち去った。

…しまった。混乱してお礼が言えてない…

思わぬ場面に気まずくなったのか、矢田たちはその場からいなくなった。

頭に置かれた手の余韻が残ってる。

若い男性、っていうのはわかったけど、そのせいで怖くて顔を見れてない。

…ちょっと後悔。

せっかく助けてくれた人の顔くらい、見ておきたかったな。

しばらくして、唯が来た。

「告ったらね、これからもよろしくね、って!ふふふ…!」

にやけが止まらないらしい親友に、良かったね、と心から言った。