「あたしだって未練が全くないと言ったら嘘になりますよ?」
今のあたしはみんなからどう見えているのだろう。
たぶん失恋した割には平気そうに見えているんだろうな。
平気そうに見えるのはそう見せているからだ。
あたしは表情管理が上手い。
自信を持ってそう言えるのは、小学校の頃から鏡の前に立つ時は表情を作る練習するようにしているからだ。
笑顔、拗ねた顔、困り顔、ぷくっと頬を膨らませた怒った顔、びっくりした顔、今にも泣きそうな顔……いかにかわいく表情豊かに表現できるか、色々なパターンを試してきた。
そして、それを人前で実践してきた。
そのせいで、いや、そのおかげで、人前ではあたしは自分が思った通りの表情ができるようになった。
演技じゃない涙を流す時、怒りの感情を表に出すのはひとりの時と決めていた。
「だけど未練タラタラは癪に障るので」
アヤに向けてにっこりと笑みを浮かべる。
「そんなのあたしのプライドが許さないです」
あたしの放った言葉にアヤはポカンと口を開けたままあたしを見つめる。それから数秒後、プッ、と吹き出した。



