吉原奈子の言葉が少し嬉しくてニヤけそうになる。努力しているからこそ、褒められるのは素直に嬉しい。
しかし、ここでは謙虚に対応した方がウケがいいに決まっているので、ニヤけるのをグッと我慢して、あえて少し困り顔を作る。
「そんなことないよ、あたしが学年一だなんて……!」
実際、あたしは自分のことを学年一可愛いだなんて思っていない。ただ、元々の顔立ちプラス努力によって学年でトップではあると思っている。
自分に自信を持つことで、より一層の魅力を放つことができるというのはパパの教えだ。
だからこそ、あたしは自分を自分で認められるように努力して自信をつけていた。
そんなあたしだから、優真があたしを選ばなかったことが信じられないのだ。
「へえ〜、確かに可愛いもんね。一緒の学校だったら絶対知ってたのに」
学校で流れていた噂で、"紫苑の幹部の中で1人だけ学校が違う人がいる"というのは、ナオのことだと察する。
甘い言葉をサラリと言ってしまうあたり、さすがナオは女慣れしているなあと思った。



