レオに連れられて、着いたのは紫苑の溜まり場らしかった。

人気のない路地裏に立つ小綺麗なビル。

一瞬、躊躇してしまったが、ガラス扉を開いて中に入ったレオに続いた。

ビルに入ってすぐに見える階段を上っていく。

階段を上った2階にはドアがいくつかあったのだが、レオは迷わず正面にあるドアに手をかけた。


「怖がる必要はない」

「え?」


あたしがその意味を理解していないというのに、彼は説明を加えることなくドアノブを捻った。

脳内をハテナでいっぱいにしたまま、レオに手を引かれその部屋に入る。


「おじゃましまーす」


と、呟きながら足を踏み入れ顔を上げれば、ずらりと並ぶ紫苑の仲間たち。

その視線を全て集めていると思うとゾクリとした。

思わずレオの影に隠れる。


怖がる必要はない?そんなの無理に決まってんだろ。

髪の毛の色がとにかくカラフル。金、銀、赤、青、緑、オレンジ、それからピンクの人もいる。

耳にはピアスがたくさんついてるし、何より目つきが悪い。

いかにも不良といった風貌の人たちばかり。

今日までただの女の子で生きてきたあたしが、こんなに大勢の不良に一度に注目されてビビらないわけがない。

ビビるなって言うのには無理がある。