私は、あるダンススクールに来ていた。
今日から、私はここに入るのだ。
「ゆかちゃん、よろしくね」
顔を覗き込むように屈んで、20代くらいの男性がにこりと微笑みながら言った。
「…………っっと、その、よろしく…です。」
聞こえるか聞こえないかというくらいの、か細い声で返事をすると、結花もまた微笑み返した。
「っ…えっと、俺のことはとわくんって呼んでね。みんなそう呼んでるからさ。ゆかちゃんはゆかちゃんでいいかな?」
こくり、と頷くと、とわ…さんは、少しの間後ろで見学しているように言うと、他のメンバーらしき人の方に入っていった。
さっきまで流れていた音楽が切り替わり、一部のメンバーが踊りはじめた。
踊ってる一人一人がきらきらと輝いて見えて、一瞬にして惹きつけられた。私にはこれだ、直感でそう感じた。
今まで16年間、興味のあることが特になかった私には、初めての感覚だった。
気が付いた時には曲が終わっていて、挨拶で紹介するから来て、と、とわくんに言われ、私も輪の中に入っていった。