好きになってはいけないひと。




扉の隙間から見えたもの。

確かにあれは緑色のくつだった。

私と同じ学年を示す緑色の。



 少しづつ教室に足を進めれば見えはじめる

男子の制服のズボン。


  
「あの…。」


  こんな寒い冬のなか、なにもない教室で

眠るこの人。

 
 顔を腕で覆い隠すように眠るこの人はだれ

なんだろう。


 キーンコーンカーンコーン


「あっ、ネックレス…」



  

  そのまま教室を後にした・・・





    “君の名前も知らぬまま”