今日も寒い。寒い。寒すぎる。

マフラーをぐるぐる巻きにして家を出た。雪は降っていないとはいえ、朝は冷たい風が私に吹き付けてきた。

学校へ行くいつもの道。二つ目の横断歩道を赤信号で止まると後ろから誰かがきた。

「…おっす」

えっ
なんでこんなボサっとした朝に会っちゃうの!?いやあんたと会えたのは嬉しいんだけどさ!よりによって大きなあくびしたタイミングで来る!!?
とりあえず、あいさつ

「おはよ」
「今日さみーな!ホントこごえてんだけど」
「そりゃそんな薄着だから…」
「ちょっと貸してよ」
「ふお!?」

私のマフラーがしゅるりと剥ぎ取られ、容赦なく彼はそれを自分の首に巻きつけた

「えっ返してよ」
「やーだ!」

そんな笑顔で言われても。

「お前のマフラーあったけー!」
「いや、私寒いんだけど」
「んー、じゃあちょっと待ってな」



「はい。」
渡されたホットココア。マフラーを強奪されたにも関わらずすごく喜んじゃってちょっと悔しい。
ばしっと彼の背中を叩いた。

「痛!?」
「いただきます」
「なんで叩いたの今!?」
「マフラー返してもらわなきゃいけないし、学校まで一緒に行くんだからね。面白い話でもしてよ。」
「無茶振り!!!」


ホットココアの熱が冷たい指先を温めていく。

私は口元を隠すマフラーがなくなったので、ニヤけるのを我慢するのに必死だった。