ピピピピピッ………ピピッ


ガチャッ。



肌寒さを感じながら、ゆっくりと起き上がる。


薄暗い室内で、時計は朝7時20分を指していた。


まだ夢の中にいるようなぼんやりした意識を一気に覚ますように勢いよくカーテンを開け、太陽の光を全身に受ける。


10月 14日 月曜日。

新たな週の始まりに、私は大きく深呼吸をし、目を開いた。




都筑 朱美 (ツヅク アケミ)、22歳。


東京で英会話講師をしながら一人暮らしをしている。



英会話講師といっても、働いているのは全国どこにでもあるような英会話教室ではない。



都内に1箇所しかない、トップクラスの講師を揃えた超有名な英会話教室だ。



講師はプランごとに異なり、生徒が選択可能。

私は働き始めて1年目だが、スタンダードコースとビジネス会話コースを兼ねており、ありがたいことにどちらもそれなりの数の生徒を担当させてもらっている。


高校、大学と海外で過ごした私は、飛び級・卒業後日本に帰国し、知人に勧められたこの教室でこうして英会話講師をしながら生活している。