「此処は俺が住む世界、ティアレスって言うんだぜ!」

「そうな…の?って…!!!!」

"猫"だったはずの声の主は、12歳位の少年になっていました。
少年はウィンクするように右目を瞑り、
「うるさーい!」と耳をふさいで叫びました。

「ごっごめん…」

「全く!ありすはいちいち煩いんだよぉ」

少年は凄く綺麗な顔立ちをしていました。
肌の色はメラニン足りてませんよ、というくらいに
健康な白い肌で、瞳の色はブルーとグリーンのオッドアイ。
睫毛は長いしパッチリ二重、
ちらっと見える八重歯が幼さとやんちゃさを倍増させていて
あのおとぎ話に出てくるチェシャ猫のような色の髪で
癖のある猫っ毛です。
絵に描いたような美男子でした。

「言っておくけど、此処ティアレスでは俺もウサギの野郎もこういう姿なんだ。ていうかコレが本当の姿。わかった?」

「よく分からないけど分かった!」

「分かってないだろ!お前!」

「そもそもこの世界が分からない!」

猫は「だと思ったよ」とため息を吐きましたが
分からないほうが正解だと思いました。
そう言い掛けたけど絶対何か文句を言われるのでその言葉を飲み込みました。