〔side 碧〕



「美亜!」




俺が呼ぶと既に目に涙を溜めた美亜がこっちを見た。

クッソ!
俺がもっと速く来てれば…!




「碧!」



美亜が俺の名前を呼ぶ。

名前を呼ばれる度にとてつもなく愛しくなる。



こんな感情はじめてなんだ。





「美亜を離せよっ!」




男の腕を引っ張る。

途端に舌打ちをして去っていく男。




「碧!!」




美亜が俺めがけて走る。





「美亜」




美亜が俺に勢いよく抱きつく。

やっぱりちっこいな…。




「ごめんね…私2回も…。学習能力ないよね…」


「美亜のせいじゃないだろ。俺も来るの遅くてごめんな」




俺の言葉に美亜は首を振る。

そのしぐささえ、可愛い。