碧の瞳のなかにきちんと私が写されている。


私の瞳のなかにも、いつもながらに碧がいる。



視線が交わるこのときが一生続いてしまえばいい。







「美亜、だよな?俺を呼んだの」






ただ、今日は碧の誕生日。


あたりまえだけど彼女でもなんでもない私が時間をとっちゃだめだ。






「ごめんね、誕生日なのに」


「覚えてくれてたんだ」







好きな人の誕生日、忘れられるはずなんてないよ。

別れる前からずっと楽しみにしてたんだから。






「大丈夫、暇だったから」







暇だったなんて嘘。


心羽ちゃんが碧の誕生日を知らないはずない。

碧の両親や妹さんたちだって、碧のこと祝いたいに決まってるんだから。





でも、今は碧の時間は私が独占してる。

そのことが私の胸をきゅっと締め付ける。