「人間1つくらい苦手なことないと~!」
鼻唄を歌うようなトーンで言う早紀ちゃん。
そんな事言うけど早紀ちゃんだって苦手なこととかなさそう…。
「完璧な人間なんていないのよ、美亜」
「そうだよね…」
私は完璧にこだわりすぎ?
でも悔しいことは悔しいんだよね~。
本当は今でもスポーツ万能になりたいって思ってるし。
難しいな。
「それにね、男子達が騒いでたわよ。体育してるときの高田が一番可愛いって」
「それ、バカにされてるだけじゃん…」
高校でもあったのか。
まあ、バカにしたくなるほど運動が出来ないのは認める。
運動音痴どころじゃないんだよね、私。
100M走のタイム、28秒。
一緒に走ってる人がゴールしてるのをまだ半分地点のところで見てるような状態。
「違うわよ、美亜。美亜は確かに見た目も完璧頭も良いしまあ、なんでも出来る。これだけ聞いたら近寄りがたいでしょ?」
そういうものなのかな?
ってか、私って近寄りがたいんだ…。
ちょっとショック。
「でもスポーツが壊滅的に出来ないから親近感が沸くし、なんでも出来る子の弱点ほど可愛いものはないわ」
ニコッとそれこそ完璧なほどの笑顔で笑った早紀ちゃん。
可愛い…。

