でも、嫌な時間ほど速く来るもので…
「今から胆試しをやりまーす」
翔大の呼び掛けが頭に入らないくらい、今の私には恐怖しかない。
ごめんね、翔大。
あぁ…私、無事に家に着けるのかな…。
「美亜」
でも不思議とこんな情況でも、碧の声にだけは体が反応する。
全身で碧の声を受け入れてるみたい。
「碧…」
「大丈夫?」
碧には私が大丈夫に見えるのだろうか。
こんなに震えてるのに…。
「じゃ、ないよな…」
はい。
全然大丈夫じゃないです。
「そんな怖がるなって…俺がいるから」
碧が私の震えを抑えるようにぎゅっと抱き締めてくれる。
碧の体温が服越しに伝わってくる。
まるで、俺が守るって言ってくれてるみたいに。

