「俺が美亜と行くから。」
今まで私達に目もくれていなかった碧が急に私の隣に来ていた。
「碧?」
「美亜はやなの?」
碧の言葉に私は大きく首を横に振る。
嫌なんて、そんなことあるわけない。
「よかったな、美亜」
もしかして、翔大元々碧がこう言うのを分かってて言ったの?
やっぱり、翔大はいい人だ。
「おーい!お前ら、一番だぞ~!」
遠くから私たちを呼ぶ声がして見ると、担任の山瀬先生がチェックポイントで手を振っていた。
一番?
やったー!
「こんなにのんびり登ってきたのにね。」
いつの間にかチェックポイントまで登っていた。
この調子なら楽勝かも。
なーんて、思っていたのに…
「ここからが危険だからな。岩場が多く、傾斜もつく。気を引き締めていけよっ!ハハッ」
ハハッじゃないですよ…。
岩場なんてある危険な山に登らせないでくださいよ…。
碧も隣で険しい顔をしている。
やっぱり、どんな顔でもかっこいいなぁ…。

