ー客間ー


お母さんが家事をしに戻り、お爺ちゃんが出て行ったので私は会長と二人きりになった。


よく見ると一度雅姫から噂で聞いたように会長は本当に美形の青年だった。



「ホント、整ってる顔、、、。肌のきめ細かすぎ」 



きめの細やかなシミ一つないきれいな肌に、やっぱりまだ少し苦しいのか、玉のような汗が浮かぶ。



会長の顔に見とれながら、汗を拭いていると急に会長の目が開いた。



「あ、会長…っ!」



会長はまだ焦点が定まらない虚ろな目で回りを見渡して、視界に私を入れる。



「ここ、どこ…」


「私の家です。具合、どうですか?」


「そ。…頭がぼーってするくらい」


「そうですか…。
大丈夫そうであれば何か作ってもらうように母に言ってきますね。」



まだうまく呂律が回らなくてもきちんと質問には答えてくれるし、もう大丈夫なのだろう。



立ち上がってキッチンに行こうとした瞬間、会長は突然私の手首をつかんだ。