記憶の欠片




「あれー?美音どうしたの?」





蓮が頭をくしゃくしゃにしてきた。





「寝不足…」





「なんで?」




日向がぐちゃぐちゃになった私の髪を直しながら聞いてきた。





「勉強してたー」






「美音って勉強なんてするんだー」





ちょっとちょっと、蓮さん?



あなた、さりげなくヒドイこと言ってますよ。






「もしかして、唯斗くんに教えてもらってたんでしょ?」





私にちょっかいだそうとする蓮を抑えながら、柊が聞いてきた。





「そう…。3時間みっちり教え込まれたよ」






「うわー、唯斗くんも酷だね」





「唯斗くんって誰?」






「あぁ、蓮は会ったことないよな」






「橘 唯斗。私のいとこで大学生。家が近いから、よくわかんないことがあると、ゆーくんに聞きに行くの」






「大学生!?俺も勉強教えてもらいてー!」





「蓮はもう頭いいからいいじゃん」





「そうそう。オール5なんてあり得ないから」




蓮を睨みながら言う柊。