記憶の欠片


「柊?」




呼び掛けてもまったく起きない。



仕方ない、薬出るまで起こさないでおこう。



隣に座ると柊の頭が、私の肩にのっかった。











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「ふぁー」



「眠たいの?」




「昨日、美音とのデートの考え事してたら夜中になってた」





「そんなに考えてくれてたの?」





「うん」





「ちょっと寝ていいよ」





「じゃあ、お言葉に甘えて」





そう言って私の肩に頭をのせた。





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「…さん!橘さん!」




「あっ、はい!」




私は柊と一緒に寝ていたみたいで、看護婦さんに起こされた。



柊も隣で目を擦っていた。




「何回もアナウンスで呼んだのに、来ないから心配したよ」





「すいません」





「はい、薬」





「ありがとうございます」




「彼と仲良しなんだね」





「え?」





「2人で寄り添いあって寝てたよ」


と耳打ちしてきた。





柊は、ん?と不思議そうにこっちを見ていた。