記憶の欠片



「ん?」



目を覚ましますと、薄暗い倉庫の中。



「目覚ました?」


さっき会った男に話しかけられるが、イスに縛られて身動きが取れない。



「ちょっと、なんですか?」


「別に、君には用はないから。俺らが用あるのは高杉優哉」



「だからって何で私が……」



「俺ら、優哉に借りがあるんだよ。君は優哉のお気に入りだって聞いたし、ただの餌」



「私なんかで優哉が来るはずないでしょ!」



「いや、もう来たみたいだよ」



男の目線の先には優哉と輝がいた。



「美音!」



優哉が私の名前を叫んでこっちに走ってくる。



あれ?




なんかこんなやり取り前にも見たことがある気がする。



「…いった」



また頭が痛くなってきた。


でも今回は映像が頭の中に流れてこない。


ただ痛むだけ。

思い出したくもないほどのことだったのかな?

体が全否定してるみたい。


痛みはどんどん激しくなってきた。


目の前は、涙で霞んで見えない。


かすかに見えたのは、輝と優哉がケンカをしてるとこ。


私はそこで意識を失った。