記憶の欠片




「美音、どうした?暗い顔して」


「なんもない」


私のバイトの先輩の佐藤大樹(さとう たいき)。


ちっちゃくてバカで、先輩に思えない。


「なんかあったら、ちゃんと言えよ」


「うん」


だけど、やっぱり年上なんだなーって思った。


私って顔に出やすいのかな?


みんなに見破られてる気がする。


「美音、あの段ボール取って!」


「わかったー」


私は棚の上にある段ボールを取ろうとしたけど取れない。


「まったくー。美音はチビなんだから」


「チビにチビって言われたくない」


「俺は取れるもんねー!」


そう言うと大樹は、段ボールを取った。