記憶の欠片


「自分のせいで傷ついてる人を見る辛さ日向には分かる?」


私は今この時でも、あの柊の辛そうな顔を鮮明に思い出す。

笑ってるのに、どこかぎこちなくて。

口角が上がっていても、目は笑っていなかった。


私の頬には涙が伝った。


すると、日向に抱きしめられた。



「ねぇ、俺じゃダメ?」


「え?」


「こうゆうときに告白して、柊にも悪いと思う。だけど、そんなに傷ついてる美音をもう見たくない」


「…日向」


「俺、ずっと美音が好きだった。だけど柊のことも大好きだから我慢してた。どんな時も2人の幸せを願っていた」


「………」


「でも、病院で美音が柊のことを忘れたって知ったとき、すごくびっくりしたし柊にも同情した。けれど、不覚にもラッキーって思ってしまっていた自分がいた」