記憶の欠片


「忘れちゃって、ごめんね」


「謝んないで。謝られた方が、傷つくよ。」


「ごめん」


「ほら、行くよ」


柊に手を引かれてカフェに向かった。


「いらっしゃいませー。って美音!」


「優哉、久しぶり!」


カフェを経営している高杉優哉(たかすぎ ゆうや)。

中学の時に1人でいろいろ悩んでいて、ふと入ったカフェがここ。

そのときにたくさん話を聞いてもらいに通うようになり、たまに蓮たちも来るようになった場所。


「どーも」


「柊も一緒か!相変わらず仲いいな!まだ付き合ってんのか?」


「えっと、」


優哉は私が記憶をなくしたことを知らない。

どう答えていいのか考えていると。



「当たり前だろ!」


柊は私と手を繋いで優哉に見せた。