2016年、10月。もう秋というのに未だわずかな暑さを含んだ風がY県町内を駆け抜けた。山の木々は今年の異常な暑さから若干涼しくった温度を見計らったように、最近では冬に向けての準備を取り掛かっていた。覚めるような黄緑の夏服から、落ち着いた茶色や色合いを気にした紅に少しずつだが、変化していた。


 
その街の中から、一つのバスが高速道路に向かって走っていた。
そのバスには、OO旅行と、赤黒い文字で書かれており、まるで、これから何か不穏な事を予告させるような色合いであった。


バスの中。

 バスの中では、うとうとと眠る人やお話をする人でいろんな過ごし方の人がいる、テレビがつけられておりそのテレビを見ている人もいた。
テレビは、その時は料理をしている場面であり、とても和やかだ

「うあー・・・カレー食いたい。腹減った。」

その中で茶髪で、耳に銀色のピアスで、目が切れ長をしてうつぶせている細身の男性がいた。彼の名前は布井 祐(フイユウ)
隣には、黒髪の短髪で本を見ながら時間をつぶしている男性、茶髪の男性が何か言ったことで、読んでいた本を閉じた。彼の名前は江(コウ)日本に留学してきた中国人だ。将来は、機械の技術者になりたいそうだ。
「まだ、出発してから二時間しかたってなイ。ユーウは朝ごはん食わんかったン?」 
「食った。食ったけど、成長期でバッテリー切れなんだ。江(コウ)なんかよこせ」
前にいた席の男性がそれをきいていて、笑いながら。
「おい、ユウ。強奪はよせよ」
そういったのは、黒髪で少し髪が長い男性。青い上着を着て振り返ってきた。彼の名前は信川 芯(ノブカワシン)
「えー!強奪じゃないぞ!!おねだりだ。」
「結果として、何かをもらうのは変わりないじゃないか」
「たしかにそうだ」
二人が笑いながら、いった。

 その間に、江はがさがさとカバンを探り何かを取り出した。どうやらお菓子のようだ。


「いいヨー。激辛棒と激アマと激辛ごっちゃキャムデーあるけど、どっちがいイ?」
「キャンデーくれ。もう空腹で死にそうだ。」
江(コウ)はそう聞くと、カバンの中から何かをとりだした。としだしたのは
「はい、甘い官能小説ダヨ」
その本は真っ赤な文字で書かれており、口から火が出ている画像。そんな恐ろしい画像の小説を渡された。この作者は何を考えてデザインしたのか。しかも、これで官能小説とか・・・
「おい、ふざけんな。」
軽く膝をもむ。この中国人め。次いでに本を
「きゃー、えっッチー!優ったら欲求不満なのね。僕の放漫な体を堪能するなんて」
「江がだろ!!いつ堪能した?俺が堪能したのはお前の筋肉でムキムキのバッキバキの腹が立つほどにかっこいい太ももだ!!」
「おまえら、うるさい。全裸で待機しろよ!!」
「あははーごめン」
菓子袋取り出し、祐にサイダー飴を渡した。
「好きな分とってネ」
「おーあんがとなー。江(コウ)助かる」





その時だった。

ものすごい轟音と振動、
体の浮遊感。そして、窓が割れバスの中が空中で回転した。
バスの中で広がる悲鳴、窓が割れ体に刺さる透明なモノと、目の前の中国人の友人が窓の外に投げ出されるシーン。手を伸ばして彼を捕まえようとしたが、あと数センチというところで彼は外へ出されてしまった。
 「江(コウ)!!みんな!!」
「ユー!助けて」
 そして、バスの中の人達が全員真っ赤に染まりあがり、誰も身動きをせず・・


バスの中と外が、一気に赤い世界と苦痛の世界へ変化した。

窓の外を見る、高速道路の道が普段より近くに見えた。おそらく・・
日くりかえったのだろう・・

目の前がぐらぐらする。透明な氷が左半身に刺さり、熱が全身を覆う。その熱を取り除くかのように体から、紅い水が上がり、対抗する。真っ赤な世界で俺は、力の入らない体でポケットに入れていた携帯を手に取り、救急車に電話をした・・・

後の事は何を話したかわからない。ただ、ただ、意識が白濁する中で考えたのは。この地獄から抜け出すことだった。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー