「だけど、いつも見学者席から皆のことを羨ましそうに見ている琴になんて声をかけて上げればいいか分からなかったの」
「…」
「だけど、今回は競技に参加してて…あんなに楽しそうな琴は見たことなかったから…」
「お母さん…ごめんなさい…」
「琴ごめんね。無理にでも止めれば良かった…本当にごめんなさい」
「お母さんのせいじゃない!私が蒼生先生との約束破って走ったから…それに後悔してないよ。
…でも、もうやらないから」
「当たり前でしょ」
いつの間にか蒼生先生が病室に入ってきていた。
「蒼生先生!」
「診察させてね」
お父さんも中に入ってきてお母さんを連れて病室から出て行った。
「蒼生先生私どれくらい寝てた?」
「体育祭の日から3日間眠っていて、1回目を覚ましてから1日だから、4日近くかな」
そんなに寝てたんだ…。
そりゃあ、お母さん達も心配するか…。

