優しい白衣の彼



「今は薬と、運動しないことで発作が起きてないだけだからね」



「わかってます」
   


「で、今度体育祭なんだって?競技に出たりしないよね?」



「はい…」


出たいに決まってるじゃん。

てか、でるし。

 
今までずっと、やれなかったんだもん。1度ぐらい…


体育も、運動会もまともにやったことがなかった。せっかく元気なんだし今回は絶対出る!!

蒼生先生には内緒だけど。



「次の予約は来週の月曜日でいい?」



「うん」



「バイト終わったら、診察室に来ること。いいね?」



「うん」



「あと、携帯の電源は切らないこと、颯汰が心配してたよ。はいこれ」

二つ折りのメモ用紙を渡されて開くと、メアドと電話番号が書かれていた。


「それ俺の連絡先。いつでも連絡していいよ」



「どうも…」

一応登録するか…何かあったときのためにも…



「じゃあ、来週の月曜日忘れずにね」



「はーい」 


診察室を出て扉を閉めた。



意外と怒られなかった。

それに、今日普通に走ったのに何ともなかったってことはもしかして、普通に運動できる?


とにかく今はバイトに戻らなきゃ。