優しい白衣の彼



「熱あるし戻ろう。主治医の先生誰なの?」



「…」


言ったら確実に連絡するよね。

絶対言わない。


「そろそろ戻りますね」


お茶を持って椅子から立ち上がり、須藤先生に軽く頭を下げた。



「一緒に行くよ」



「先生仕事あるんじゃ」



「僕今日は夜勤だし、仕事ならほとんど終わらせてあるから大丈夫だよ。それに、心配だから」



えっ…。心配って?


「逃げ出したら大変だからね」



「逃げ出しません…」


そっちの心配ね…

まぁ、その心配当たっているけど。



仕方なく、須藤先生とエレベーターに乗って、病棟に行く。

「ハァ…」



「部屋どこなの?」



「あそこです」