顔を上げると

「吐けないの?」  


 
「うん…」 



「ちょっと待ってね」  


ナースコールを押して何か言ってるけど

全然耳に入ってこない。



少しして看護師さんが何か持ってやってきた。

「ありがと。琴ちゃん口開けて」 


先生が手袋をはめるのを見て今から何されるのか分かった…


「もう気持ち悪くないです」



「顔色悪いし、ほら口開けて」


ボーッとしてても、それだけは嫌だ。

唇を噛んで口を閉じていると、鼻をつままれた。


苦しくなって口を緩めるとその瞬間に手が入ってきた。

「ヴッ…オエッゲホッ…」  


苦しい… 
  
しばらく吐かされて、終わった頃には涙で顔がぐちょぐちょ。


「スッキリした?」



「してない…」 



「ならもう一回やる?」 



「スッキリした…」