「本当?」



「本当だよ。今は聴診器と体温計しか持ってないから聴診しかやらないよ」

蒼生先生が優しめの声のトーンで話し掛けてきた。



「看護師さんとかに…連絡しない?」

響紀の背中から少し顔を出して蒼生先生と話してみる。

聴診も本当はしたくないけど、聴診しかやらないのなら…



「言わないよ。今は点滴も注射もやらないから…ね?聴診だけさせてくれないかな?」



「わかった…」
 
白衣を握っていた手を離すと、響紀に頭を撫でられた。



「すぐに終わらせるから、ボタン上3つ外してくれる?」



「うん……響紀はあっち見てて」

そう言って窓の方を指した。

響紀に見られるのはさすがに恥ずかしい。


「わかった」

響紀が窓の方を向いているうちに聴診だけ受けて、終わるとすぐにボタンをとめた。




「聴診終わった事だし俺は医局の方に戻るね。響紀もう大丈夫だよー」

蒼生先生が病室から居なくなると、響紀と目が合った。


「よく頑張りました」



「えへへ」

響紀に頭を撫でられると、気持ちいい。


「琴ちゃんって頭撫でられるの好きだよね」



「好き」

撫でて貰っていると気持ちよくて眠くなってくる。


「今日は疲れただろうし、沢山眠りな」



「ん…」

ベッドに横になって、目を閉じるとすぐに眠りについた。