優しい白衣の彼

「琴姉大丈夫?」

千那ちゃんが今にも泣きそうな顔で聞いてきた。



「大…丈夫だよ。でも今日は…もう帰るね」

皆に心配かけないように、笑いつつ立ち上がった。



「またね」



「…うん、また来てね!」



「うん!」


響紀を置いて病室を出て、少し歩いたところで崩れ落ちる。

限界…


「…琴ちゃん!!」

後から追ってきた響紀が駆け寄ってきた。


「ゴホゴホッ…ケホ…うっ…ゲホッ」

気持ち悪くなって口元に手を当てると

ベッタリと血がついた。



「響…紀…ゴホゴホッこれ…」



「大丈夫だよ、今処置室連れていくからね」



「毎回…ごめん…ゴホゴホッ」

抱きかかえられながら、白衣をぎゅっと掴んだ。


検査が嫌で逃げ出したけど、見つかった後のこと考えてなかったし

ここまで酷くなるなんて思ってなかった…