「点滴ずれちゃうし、苦しいでしょ」

確かに苦しい。

点滴がずれるのも嫌だ。



仕方なく顔を出した。

髪の毛が更にボサボサになっちゃった…


「点滴ずれてないか見せて」

本当は腕も見られたくないけど、お医者さんモードみたいだから腕を出した。


「ずれてないね」

見終わると、そっと布団の上におろされた。



「苦しくなっちゃうから頭までお布団被っちゃダメだよ」




「はーい…」

響紀の言い方がお母さんみたい。




……―この前みた女の人のこと聞いてもいいかな?


「響紀…」



「ん、何?」


やっぱり聞けない…

仕事で話していたかもしれないのに、下手に聞けないよ…


「おやすみって、言おうと思っただけ」



「フフッおやすみ」

チュッ


あわわわわわ…

ほっぺにキスされた。


これが初めてって訳じゃないけど、ドキドキする。






もう今日は何も考えないで眠ろう。

ゆっくりと瞼を閉じた。