「蒼生…先生……響…紀に」

うぅ…話しづらい…

痰が絡まっているせいで呼吸しづらい。


「琴ちゃん少し痰吸引しようか。苦しいでしょ。響紀ならまた夜に来るから大丈夫だよ」



「分かっ…た」

吸引…

やりたくないけどやらないと苦しいし…

でもあれ本当に苦しいし…



チラッと蒼生先生を見ると、いつの間にか戻ってきた佳純ちゃんと吸引の準備を始めている。


「すぐ終わるから、動かないでね。動くと余計苦しくなるから」



「うん…」


佳純ちゃんに酸素マスクを外されて「動かないように抑えるよ」

頭を固定された。



「琴ちゃん入れるよ」

口を開けると、カテーテルが入って来た。


意外と大丈夫かも??なんて思っていると「ゲホッゲホッ…ゴホッ」

やっぱ苦しい…



「お疲れさま」

カテーテルがようやく抜かれて、
佳純ちゃんの手も離れ、また酸素マスクをつけられた。


たった10秒くらいの事なのに、5分くらい経った気がする…