苦しい…

思わず胸の辺りを掴んで俯く。

なんで病院にいるときに発作起こすんだろ…


「琴ちゃん吸える?」

口元に吸入器をあてられて、吸い込む。




「ケホッ…ヒューゴホゴホッヒュー…ケホケホッ」
 
痛いし苦しい。

中発作くらいかな…


治まらない咳と、絡まり続ける痰…喉が痛くなってきた。


ガラッ

「琴ちゃんゆっくり呼吸しようか」

佐伯君の声から蒼生先生の声に変わった。


言われたとおり必死に呼吸を繰り返すけど、上手く出来なくて焦り始める。



どうやるんだっけ?


蒼生先生の声が遠くに聞こえ始める。






次第に人が増えていき、気がつけば処置室の台の上。

横になるのも苦しいのに動けない。


体の弱い自分に腹が立つ。

治ったと思っていた喘息も出てくるし、肝心なときに体を壊すし…

辛い…


普段はこんな事考えないけど、きっと今は心が疲れているんだ…



色々溜まっていたことが溢れ出す。

こんな体じゃなかったら…

もっと心も強かったら…


「ゴホゴホッ…ケホッヒュー…ヒュー」

涙と共に、咳も溢れてきた。

止まらない涙と咳。


苦しくて仕方がない。

看護師さんや、蒼生先生の声がいよいよ聞こえなくなってきて、視界も薄れてきた。