ニコニコしている佐伯君に冷たい態度をとる。

今は考え事しているから、そっとしておいてほしい。


「えー、俺のこと嫌い?」



「普通ー」



「俺は好きだけどなー」



「へー…佐伯君暇なの?」



「琴ちゃんの事見ていないといけないからね~」

佐伯君はこんなんだけど34歳で、この病院に勤めて6年。


6年前、初めて会ったときはもっと大人しくて、こんなにチャラくなかったのに…


いつからこんなにぐいぐい話してくるようになったんだろう…






ピリリリリリ

「はい、佐伯です……はい……はい……」

佐伯君が電話しつつ、私を見る。

きっと呼び出しかな?


「私なら逃げないから、行ってきていいよ」



「でも蒼生先生に言われてるし、心配だよ」



「もしヤバくなったらちゃんと呼ぶから、蒼生先生も分かってくれるし」



「っ―…すぐ戻ってくるからね」

やっぱり急いでいたらしい。

慌てて診察室から出て行った。