優しい白衣の彼

「佐伯君…」

そこには以前入院したときに担当だった看護士の佐伯君が。


「蒼生先生なんで佐伯君が!!」

佐伯君に立ち塞がられて、診察室から出られない。



「だって吉川さんだけじゃ点滴出来ないと思ったから、呼んでおいた」



「相変わらず点滴嫌いなんだ?」



「嫌いじゃないもん。体が受け付けないだけ」



「そんなこと言わないで点滴やっちゃお?蒼生先生点滴刺すの上手いし」

軽々と抱き上げられてベッドに横にされた。

そして腕を固定された。


動かそうとしてもピクリともしない。

「ケホケホッ今日はやめようよ」



「すぐ終わるからね。刺すねー、痛いけどちょっと我慢ね」

すかさず手の甲に刺された。

凄く痛い…  


「はい終わったよ。このまま大人しくしててね~」



「はーい…」

チラッと佐伯君を見ると、「どうしたの?」

私がさっきまで座っていた患者さん用の黒い丸椅子をベッドの横に置いて
座った。


「佐伯君のバカ…」