優しい白衣の彼


コンコン

「はーい」

響紀が診察室のドアをノックすると、蒼生先生の声が聞こえた。


「蒼生先生、琴ちゃん連れてきましたよ」



「お!!流石!!琴ちゃんがちゃんと来るなんて初めてじゃない?」



「たまに来てます!!」

患者さん用の黒い丸椅子に座った。



「本当にたまにね。毎回来て貰わないとー」



「帰っていい?」



「診察終わったらいいよ」



「はぁ…」

絶対バレる…

喘鳴消えたわけじゃないし、ギリギリのラインで退院したわけだから……



逃げたい…

でも今走って逃げたら多分倒れる。

「制服のブレザーと、カーディガン脱いでくれる?」



「はーい…」

ブレザーと、カーディガンを脱ぐと響紀が持ってくれた。


Yシャツのボタンを少し外すと

「聴診するよ」

チェストピースが肌に触れた。