「お前病院内走るなよ…」



「あー、うん」


琴ちゃんの病室に着くと、颯汰が琴ちゃんの手を握りながら

汗でくっついた前髪をよせていた。



「本当琴ちゃん好きだよな」



「当たり前だろ、こんなに可愛いんだから」

可愛いのは分かるけど、いくら何でも溺愛しすぎな気がする。

本当相変わらずシスコンだな…



「ケホッ、んー?コホコホッお兄…ちゃん?」



「そうだよ。お兄ちゃんだよ、苦しくて起きちゃったか?」



「うん…」



「蒼生」



「あぁ、吸入するか」


吸入器の準備をして、琴ちゃんにマスクをつけてスイッチを押した。


「コホコホッ…」


また、眠りについた琴ちゃん。

寝ながらでもできる吸入だから問題はないけど、中々咳治まらないな…



「颯汰そろそろ戻らないと」



「もう少しだけ側に居るよ」



「分かった。あんまり無理するなよ、明日も仕事あるんだし」



「あぁ…ありがと」






【蒼生side】 End