「それから、そんな生活が五年間続いた。

小学生になって、少しは手間がかからなくなった矢先。

瑠佳が、学校で倒れたんだ。

原因は、喘息の発作と軽度の貧血
栄養不足もあるって言われて、驚いた。


全部、シッターに任せていたから、そんなはずないって――。

その言葉を口にして、ふっと思った。

俺は、瑠佳といつから一緒に食事をとっていないだろう――。


シッターが居るとはいえ、仕事が終わり次第帰ってしまう。

食事をとるときにはいつも一人だ。

あんな小さな体で心で、どれだけのものを抱え込んでたんだろう?


そんなことにも気がつけない自分に腹が立った。


瑠佳も入院中
いつもの笑顔で話しかけてくれた。

人見知りだから、誰にでもとは、いかないみたいだったけど。


俺は、笑顔を向けてくれる瑠佳に安心して
瑠佳の本当の気持ちを理解してなかった。

自分が情けなくなった。


それから、瑠佳は退院して、なるべく瑠佳との時間を増やすようになった頃。


客から『NEKOMIYA 』の事を聞いた。
最近、美味しくて、体にも優しい話題の店があるって。

調べてみて、愛与達が経営してる店だってことは直ぐに分かった。

でも、瑠佳の事を考えると、ここが近場で連れてこられるところで、何せ、瑠佳は猫好きだから、一目見て行きたいっていったところだったから。

それで、さっき、
瑠佳があんなに美味しそうに食べる表情久々に見た。


やっぱり、瑠佳の側に居たいし、今の仕事も辞めようと思ってるんだ。

瑠佳には、俺と同じ思いこれ以上はさせたくない」



命の目は、真剣だった。