俺は、男の子の前で屈み、話した。



「ねぇ、君の名前は何て言うの?」



命の後ろに隠れながら、顔を覗かせ。



「帰蝶 瑠佳(キチョウ ルカ)です」



綺麗な透き通った声をしていた。



「そっか、瑠佳君か。
俺は、猫宮 愛与、宜しくね」


「ネコ……」


「猫好きなの?」



命の影から少し出てきて、大きく頷いた。



「お店の看板にも猫のマークあるんだよ」


「うん、見た。
お父さんがお店の写真見せてくれて、猫のマークあったから、行ってみたいとおもって」


「そっか、気に入ってくれたんだ」



その時、春毘が少しため息をついてから、
瑠佳君の前につくと、しゃがみこんで、瑠佳君の目線に会わせながら話始めた。



「お前は、好きなものあるか?
材料があれば、何でも作ってやるぞ」



春毘のいつもどうりの甘い優しい声になった。

俺の一番好きな声。



「……、ハンバーグ」


「ハンバーグか、分かった。
作ってくっから、席でちゃんと待っとくんだぞ」


瑠佳君の頭を撫でてから、調理場に向かった。