それから、食力も落ち、眠りも浅い。

春毘とも相変わらず、仕事以外で話さなくなった。

気まずくて、夜中にうなされて起きるときもあったから、春毘のことも考えて、

ソファで一人、寝てことにした。



そんな日が数日間続いた。



「愛与」


久々に朝から好きな人の声が降ってきた。

心地よく、目を覚ましたのはいつぶりだろう。



「春毘」


「大丈夫、なのか。
ひでぇ、顔してるけど……」


「大丈夫、平気だよ。
心配しなくても、大丈夫だから」



しばらくの間、話していなかったから、
何を話していたか、忘れてしまった。


どんな声で、どんな言葉で、どんな顔で

春毘と一緒にいたんだろう?


どうして、あんなにも隣にいたいと願った人と、

今は、こんなにも離れないと思うのだろう?



「愛与――」



春毘は、俺の名を呼ぶと、
少し強く抱き締めた。



「無理すんな」



その言葉を聞いた瞬間

涙が溢れてきた。


本当は、辛かった。

抱きしめて欲しい、話して欲しい、側に居て欲しかった。


でも、自分からは言えない。



自分が傷つくより、
相手が傷つく方がよっぽど痛い。



春毘を傷つけたのは、俺だから……。

その報いは受けないといけない。





泣きながら、考えた。

けど、それは最初の内だけで、頭が真っ白になった。

そのあとは、ただただ、
大好きな人の腕のなかで、小さな子供みたいに大きな声で泣いていた。



最後には、泣きつかれて、少し喉も痛かった。

その時、視界がグラッとしてから、記憶がなくなった。