いつか誰かがこう言った。
好きな人と一緒に居ると、その人に染まるって。

いつか誰かがこう言った。
雨は空にいる自分の大切な人が、泣いているから降ってるんだって。

いつか誰かがこう言った。
この胸の甘く切なくほろ苦い高鳴りは、恋の始まりだって。

いつか誰かが……こう言った。
運命は、変えられない。持って生まれた宿命だ、と。

誰が言っていたのかは、私も知らない。


けれどわかることは……もう私の願いは叶わないってこと。

どれだけ願ったって、それはただの叫びでしかなくなる。

どれだけ君のことを想ったって、それは永遠の片想いだ。


ねぇ。

私、ずっと言えなかったことがあるの。

初めて出逢ったあの、雨の日の美術室で、私は貴方に恋をした。

だから雨は、嫌いだけど好きなの。

でも海は綺麗で好きだけど、嫌いだよ。

だってね、オレンジ色に染まったあの海が、君を連れ去った気がするから……。