「第1章 再会…そして新たな出会い」
俺が公園のベンチで座りながら、何を話そうか考えてた時誰かが後ろから声を掛けてきた。
「あのぅ、すいません。遅れました。」
振り返ると、白く澄んだ肌、小柄で守りたくなるような体に小さな瞳が輝くあの人がそこに立っていた。
「あっ、あ、だ、大丈夫です…」
あぁ、なぜだろう。うまく話せない…ずっとそばに居たのに。 説明しょう。俺は解離性同一性障害(多重人格)と言われる病気なんだ、それでこの人は俺の恋人の笑美(えみ)なんだけど…笑美が好きになって愛したのは俺じゃなくて、俺の交代人格の天斗(たかと)だったんだ。でも、天斗と俺は七ヶ月前に統合をした。統合とは俺と天斗全く別の人格の記憶を一緒にする事。しかし、天斗は俺が子供の頃から俺と人格を入れ替えてた。天斗が俺の代わりに生きてたんだが天斗が自分が交代人格って知って俺と統合をする事を決意した。それで俺は天斗の記憶をもらい、真の天斗として生きる事になった。でも、全ての記憶が同時に蘇らず、少しずつ自分の生きてきた人生の記憶を辿っていた。そして、笑美の存在も少しずつ蘇ってきた。それで今日やっと笑美と会えたんだ。
「笑美…さん。久しぶりです。」笑美との思い出で頭がいっぱいなのに、上手く話せない…
「天斗は死んだんですか。あなたと統合して…」
笑美が泣くのをこらえて、やっと口に出した言葉。俺はその言葉を聞いて謝ることしか出来なかった。
でも、心の中で笑美との思い出があり、俺は笑美を愛した…愛してるとも確信が出来ていた。泣きながら僕は伝えた。
「ごめんな…ごめん俺が最初から…最初から笑美と出会ってれば良かったんだ。俺は天斗だよ。ちゃんと笑美との思い出もあって笑美の事が好きなんだ!」
これが俺が今言える必死の思い。俺が眠っていた間表に出ていた天斗が好きになった人…俺が好きになった人。笑美は泣くのを我慢して僕に言った。
「天斗…お帰り。一緒に今までの思い出を思い出して、そこから新しい思い出を作ろうね。」
笑美の言葉に俺はどれだけ救われたのか。今から俺達の新しい恋が始まる。