『キーンコーンカーンコーン』

帰りのホームルーム終了の鐘を最後までゆっくり聞いて、黒板の連絡もゆっくりノートに写していた

いつもなら、1秒でも早く帰るために高速で書き終わらせ、鐘の途中で教室を飛び出す。

でも、今日はなんといっても柴崎くんとの初デート。
『柴崎くんと一緒』なのだ。

連絡を写し終わった頃には、教室の人もまばらになっていたが、その中で柴崎くんを一番に見つけることができた


リュックを背負って、斜め後ろの方向の柴崎くんの席に行く。

連絡を写し終わったらしく、ノートをもそもそとしまいこんでいる。


「柴崎くんっ」

「詩帆」


あどけない表情が子犬のようでくすっと笑ってしまう


「ん?なんかついてた?」

「ううん。行こっ」

「うん」


柴崎くんが立ち上がったのを確認して、私はゆっくり歩き始めた

柴崎くんも慌てながらリュックを背負って追いかけてくる