好きを、何度でも



でも、詩帆は泰然としている。そう見せているのかもしれない。


『ガラララッ』

耳障りなドアの開く音がした。


入ってきたのは担任。

まあまあ歳をとった中年というと行き過ぎている感じで若い青年と言うのはちょっと違うくらいの男だ。


忘れ物をしたような感じで小走りで入ってきた


そのまま行くかと思ったそのとき

「おい、お前ら席につけー。
…なにやってるんだ?」


明らかにみんなの視線が僕たちに向けられていることに気づいたのか、
担任が周りを見渡す


沈黙が流れ、終わらないように思えたそのときだった


詩帆が握り続ける僕の手を突然引っ張り、時を止めたように固まる教室の中を僕を引いて歩いて行く。

目線だけがぼくらをおいかける


そして担任がいる黒板の前の、教壇にドンっと詩帆が手を置いた

マンガでよく見る先生のようだと思った