深夜。 


狭い路地裏に、少年の悲鳴が轟く。 


「……やめ、やめてくださ、うぁぁッ!!」


背中を思いきり蹴りつけられ、少年は悶絶した。


少年の周りには彼を取り囲む数人の男達。 


彼らは余裕をかました笑みを浮かべて少年に見いっている。


男の一人が口を開いた。


「あんた、『蠡宴』の組員なんだって?はっ、こんな弱ぇ奴つかまされて大変だな、あの組も」


そう言って少年の髪をひっつかむ。無理矢理立たせると、まるで見世物にするようにその体を自分の前に引っ張った。





「……やれやれ、またかよ」

その様子を影から見ていた俺は、呆れてため息をつく。

こんな状況は、俺からしてみればシリアスの欠片もない。

むしろ日常茶飯事だ。

「さてと、借りを作らせに行きますか」

俺は立ち上がると、男達に向かって走り出した。