俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】

その班にいた女の子が柊くんを発見すると、一緒の班の女の子にそう言っているのが聞こえた。




へぇ~やっぱ柊くんって有名人なんだ。
あの女の子、声大きすぎてこっちまで聞こえてきちゃってるよ。




水筒の水を飲みながら、呑気にそんなことを考えていた。




「ねえねえ、せっかくだし話しかけにいっちゃおうよ」

「うんうんっこんなチャンス滅多にないもんね」




女の子たちはくすくすと笑いあいながら、柊くんへと視線を向けていた。




うわっ柊くんがっつり嫌そうなのが顔に出ちゃってるよ。
まぁ、あれだけ大きな声で話してたら全部聞こえちゃうよね。




そして女の子たちは柊くんのいる方へと足を向かわせたのだった。




「あの子たちすごい度胸だね。女嫌いって知ってて話しかけにいってるもんね」




「うん…柊くん、大丈夫かな」




私と涼香ちゃんはそんな様子を遠くから見つめた。