俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】

彼は小さな声でそう言うと、私に向かってあっかんべーをしてきた。




眉間にしわを寄せる私を余所に、彼はゆっくりとした足取りで教室を出て行った。




もうっなんなのよ!

せっかく人が親切に優しーく教えてあげたっていうのに。




腹を立てながら携帯を取り、その足で職員室にいる先生に彼がきたことを報告すると、再び空き教室へと戻ってきた。




ちゃんと作業やってくれてるのかな。
ちょっとでもサボってたら怒ってやるんだからっ




そんなことを思いながら空き教室のドアを開けると、中には黙々と作業をしている柊くんの姿があった。




おっ意外だけど、ちゃんとやってくれてるじゃんっ




少し頬を緩ませ、気分よく中へ入った。




「ただいま戻りましたっ!私も作業やるね」

「…」




柊くんからの返事はないどころか、こちらを一切見向きもせず淡々と資料に手を伸ばしていた。




相変わらず冷たいんだからっ

まぁ、分かってたことだけど。