俺の半径3メートル以内に近寄るな。 【完】

「おーい?帰ったんじゃなかったの?」




そう声をかけると、私の存在に気がつき、彼は顔を上げた。




「…おい、この張り紙はなんだ」




そう言って彼の手に握られていたのは、私が先ほど書いたメモだった。




そこには、❛サボリ魔の柊悠翔!今度勝手に帰ったら許さないから!バカ!アホ!❜と書いてあった。




「あ~それは私が書いたんだけど…帰ったんじゃなかったの?」




「お前が放課後残れっつったんだろ…ちょっと席外してただけで。それに、カバン置いてあるのに、帰るわけねーだろ」




言われてみれば、確かに彼の席にはカバンがちゃんとかかっていた。




…全く気がつかなかった。




柊くんは不機嫌丸出しの顔で、私のメモをぐしゃぐしゃっと潰していた。