ひらひらと舞う桜の花びらは、まるで新入生の私たちを祝福してくれているみたいだ。




ふと、数メートル前を歩く男女の組み合わせが視界に入る。




もしかしてカップルなのかな?

さっきからすごく楽しそうに話してるな~




特にそれを羨ましいと思うこともなく、ただぼーっと見つめていた。




今まで彼氏が出来たことなど一度もなく、ましてや好きな人すら出来たことがなかった。




私くらいの年の女の子たちはみんな恋愛に夢中になるって何かの雑誌で読んだことあるけど、恋愛ってそんなにいいものなの?




ん~、まっ私には関係ないことだし、興味ないからいっか。




ゆっくりと歩くカップルの横を通り過ぎ、坂道を登り切ると、やっと校門が現れた。




校門の奥では先生たちが新入生の誘導をしているようだった。




「よしっ」




私は気合いを入れると、不安や希望、色んな思いを胸に校門をくぐったのであった。