【橋本side】
こんな子も、おるんやなぁ。
今、俺の目の前で眠りについている一人の生徒。
こんな綺麗な寝顔が、他にあるやろか。
こいつの名前は西村梨心。
名前を聞いたわけでもないが、
最近教師の間での話を聞いていると
なんとなく、見た目や雰囲気で分かった。
俺の憶測やけどな。
西村との出会いは入学式。
たまたま1年生の校舎にフラッと立ち寄った時に、ぶつかって軽い怪我させてもうたんやわ。
こいつ、立てれんくて俺が保健室まで運んだんやけど。
俺の嫌いな、保健室にな。
なんで俺が保健室の先生をしているのか、未だに自分でもわからん時がある。
この学校の保健医になることが決まったその年から
俺は保健室が嫌いになった。
新しい保健医を見ようと、いろんな生徒(ほぼ女子)が、次々とやってきた。
仮病を使ってベッドを使いたがるやつ、
「せんせ~しゃべろぉ~?」と
無い色気を出して無駄にベタベタしてくるやつ。
俺はそうゆうのが苦手やったし、めんどくさかったから
新学期そうそう1週間で
保健室に張り紙をした。
単純に言えば、"使うな"ってことや。
それからのこと大体の事情は学校側に説明して、理解してもろて、
暇な俺は仕事してると見せかけて
実は校舎をぶらぶらしたり
保健室のベッドでお昼寝したり.....
やる気なし、気力なしや。
そんな俺を見て誰も何も言ってこない。
だから俺はこんな仕事でも、やめなくてすんでる。
そんな時西村に会った。
流石に怪我させてしもて放置するわけにはいかんから保健室に連れてきた。
手当してあげたら、勢いよく立つもんやからふらついてさ。
俺も咄嗟のことやったし抱き寄せてしもたんやわ。
彼女、ダッシュで逃げてったけど。
どっか遠いとこ、見るような目ぇしてたなぁ。
俺は西村に、ほかの生徒とは違う違和感を覚えた。
それから2週間くらい経った日。
今日も案の定校舎をふらふらしてた俺
たまたま立ち寄った2年生の校舎で
うずくまってる生徒がいた。
保健医として、通りすがるわけにはいかんから、一応声かけたら
そいつは顔を上げた。
────西村。
こんなとこで何してるんやろう。
彼女は俺をまっすぐ見て、こう言った。
「探してた」と
────「会いたかったです。」と。
俺はどうすればええかわからんくて、とりあえず笑ったけど。
それから保健室使いたがってたから
しぶしぶ連れてってベッドを使わせてやった。
保健室を開けない理由を聞かれたから答えたら
私もサボリに来たって、
俺に会いに来た、とか言うから。
不覚にも可愛いだなんて
思ってしまった。
ほんで、特別やって言ってしもた。
西村は眠かったのか、すぐ眠りについたから
俺は保健室の鍵をかけたまま、電気を消したまま、
ソファに座り考え事をしていた。
1時間くらい経った時
ベッドから、鼻をすする音が聞こえてきた。
泣いてんのか?
ベッドの方に歩いていくとカーテンの向から声が聞こえた。
「...........いかないで....おねがい....」
西村はそう言った。
カーテンをめくる手が止まったが
心配になって覗いて見た。
西村はずっと泣いていた。
表情は、苦しそうやった。
俺は西村の頭を撫でた。
俺が小学生の時
女子にいじめられて泣いていた俺を
母さんはこうやって、撫でてくれた。
それで安心して、俺は眠る。
しばらくすると西村は泣くのをやめた。
それから数分が経って、目を覚ました。
「辛い夢、見たんか?」
俺はそう言った。
西村は返事をすることもなく
静かに、涙を流した。
俺は女の涙を見たのは2回目やった。
1回目は大学時代付き合っていた元カノの涙。元カノは別れ際に泣いた。
俺は昔っから人付き合いが上手くなくて
元カノの考え.....いや、
女の考えてる事は、だいたい理解出来なかった。
それからずっと彼女を作らず、俺は1人平凡に生きてきた。
そんな中、西村に出会って
どういうわけか今俺の目の前で泣いている。
ほっとけね~。
それが俺の今の感情。
「......やだよ........つらいよ.....」
西村は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、そう言い肩を震わせていた。
俺はそんな西村を、
抱きしめたい、とさえ思った。
ほんまに、俺はどうかしてるんちゃうか。
「よしよし、泣きたい時は思いっきり泣くんが一番やで?」
そう言って西村の頭を撫でる。
髪の毛、サラッサラやなぁ。
なんで染めてるんやろか。
「......ぅっ...........」
感情が抑えきれません
とでも言うように、西村は泣き続けた。
ほんまに、抱きしめたいと思った。
俺が抱きしめることによって
西村が落ち着くかどうかなんてわからんけど。
まだ2回しか会ったこともないやつが。
俺の中でどんどん膨らんでった。
俺の中で特別な存在に変わっていった。
────────────
こんな子も、おるんやなぁ。
今、俺の目の前で眠りについている一人の生徒。
こんな綺麗な寝顔が、他にあるやろか。
こいつの名前は西村梨心。
名前を聞いたわけでもないが、
最近教師の間での話を聞いていると
なんとなく、見た目や雰囲気で分かった。
俺の憶測やけどな。
西村との出会いは入学式。
たまたま1年生の校舎にフラッと立ち寄った時に、ぶつかって軽い怪我させてもうたんやわ。
こいつ、立てれんくて俺が保健室まで運んだんやけど。
俺の嫌いな、保健室にな。
なんで俺が保健室の先生をしているのか、未だに自分でもわからん時がある。
この学校の保健医になることが決まったその年から
俺は保健室が嫌いになった。
新しい保健医を見ようと、いろんな生徒(ほぼ女子)が、次々とやってきた。
仮病を使ってベッドを使いたがるやつ、
「せんせ~しゃべろぉ~?」と
無い色気を出して無駄にベタベタしてくるやつ。
俺はそうゆうのが苦手やったし、めんどくさかったから
新学期そうそう1週間で
保健室に張り紙をした。
単純に言えば、"使うな"ってことや。
それからのこと大体の事情は学校側に説明して、理解してもろて、
暇な俺は仕事してると見せかけて
実は校舎をぶらぶらしたり
保健室のベッドでお昼寝したり.....
やる気なし、気力なしや。
そんな俺を見て誰も何も言ってこない。
だから俺はこんな仕事でも、やめなくてすんでる。
そんな時西村に会った。
流石に怪我させてしもて放置するわけにはいかんから保健室に連れてきた。
手当してあげたら、勢いよく立つもんやからふらついてさ。
俺も咄嗟のことやったし抱き寄せてしもたんやわ。
彼女、ダッシュで逃げてったけど。
どっか遠いとこ、見るような目ぇしてたなぁ。
俺は西村に、ほかの生徒とは違う違和感を覚えた。
それから2週間くらい経った日。
今日も案の定校舎をふらふらしてた俺
たまたま立ち寄った2年生の校舎で
うずくまってる生徒がいた。
保健医として、通りすがるわけにはいかんから、一応声かけたら
そいつは顔を上げた。
────西村。
こんなとこで何してるんやろう。
彼女は俺をまっすぐ見て、こう言った。
「探してた」と
────「会いたかったです。」と。
俺はどうすればええかわからんくて、とりあえず笑ったけど。
それから保健室使いたがってたから
しぶしぶ連れてってベッドを使わせてやった。
保健室を開けない理由を聞かれたから答えたら
私もサボリに来たって、
俺に会いに来た、とか言うから。
不覚にも可愛いだなんて
思ってしまった。
ほんで、特別やって言ってしもた。
西村は眠かったのか、すぐ眠りについたから
俺は保健室の鍵をかけたまま、電気を消したまま、
ソファに座り考え事をしていた。
1時間くらい経った時
ベッドから、鼻をすする音が聞こえてきた。
泣いてんのか?
ベッドの方に歩いていくとカーテンの向から声が聞こえた。
「...........いかないで....おねがい....」
西村はそう言った。
カーテンをめくる手が止まったが
心配になって覗いて見た。
西村はずっと泣いていた。
表情は、苦しそうやった。
俺は西村の頭を撫でた。
俺が小学生の時
女子にいじめられて泣いていた俺を
母さんはこうやって、撫でてくれた。
それで安心して、俺は眠る。
しばらくすると西村は泣くのをやめた。
それから数分が経って、目を覚ました。
「辛い夢、見たんか?」
俺はそう言った。
西村は返事をすることもなく
静かに、涙を流した。
俺は女の涙を見たのは2回目やった。
1回目は大学時代付き合っていた元カノの涙。元カノは別れ際に泣いた。
俺は昔っから人付き合いが上手くなくて
元カノの考え.....いや、
女の考えてる事は、だいたい理解出来なかった。
それからずっと彼女を作らず、俺は1人平凡に生きてきた。
そんな中、西村に出会って
どういうわけか今俺の目の前で泣いている。
ほっとけね~。
それが俺の今の感情。
「......やだよ........つらいよ.....」
西村は聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で、そう言い肩を震わせていた。
俺はそんな西村を、
抱きしめたい、とさえ思った。
ほんまに、俺はどうかしてるんちゃうか。
「よしよし、泣きたい時は思いっきり泣くんが一番やで?」
そう言って西村の頭を撫でる。
髪の毛、サラッサラやなぁ。
なんで染めてるんやろか。
「......ぅっ...........」
感情が抑えきれません
とでも言うように、西村は泣き続けた。
ほんまに、抱きしめたいと思った。
俺が抱きしめることによって
西村が落ち着くかどうかなんてわからんけど。
まだ2回しか会ったこともないやつが。
俺の中でどんどん膨らんでった。
俺の中で特別な存在に変わっていった。
────────────
