さっきの出来事は雪ちゃんと翠ちゃんには言わずに
体調が悪くなったと言って
帰ることにした。
絢人は送ると言ったけど
私は無理やり断った。
家に帰ってベッドに顔をうずめる。
涙が溢れて、震えが止まらなくなる。
あの頃の風景や、周りの人達。
フラッシュバックに耐えれなくなり、私はそこで意識を失った。
────私の人に言えない過去。
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それは中学2年生の夏休み。
その頃の私は至って普通の中学生だった。
入学して間もなく出来た彼氏と、1年以上付き合っていたし、そこそこ友達もいた。
でもそれは一瞬にして崩壊した。
原因は1つ上の先輩。
チャラチャラしていて、ひとことで言えば不良。
いつもたくさんのヤンキーとつるんでいて
1年や2年の男子からお金を取ったり
いろんな女を泣かせたり
もっとひどけりゃ学校に放火をしたこともあったしお店で万引きをしたこともあるような、そんな最低な不良だった。
私はそんな先輩が大ッ嫌いだったし
目をつけられないようにはしていた。
でも、とある些細なことがキッカケで
先輩に気に入られてしまった。
「彼氏いるんだっけ~?」
..........瞬のことだ。
私が瞬とよくいるのを何度も目撃しているはずだから知ってると思うんだけど....。
「先輩、私用事があって....」
「ノーノーノー!遊ぼ?俺と」
「いやちょっと今日は...」
その日は大事な大事な用事があった。
母の......お墓参りの日だ。
そんなの絶対にすっぽかせないし
すっぽかせたくもない。
でも私の発言が気に触ったのか
先輩はチッと舌打ちをして
私を睨んだ。
「おめー俺に逆らうんか?」
「.......違います....でも....」
「ああ?そんなことしたら大好きな大好きな瞬くんが大変なことになっちゃいまちゅよ~?」
「瞬がっ?なんでです?」
「今ダチに瞬を拉致らせてるんだよなぁ」
瞬を.....拉致......?
「やだ.....しゅ....っ」
先輩に口を塞がられて
私は学校の外へ連れ出された。
声にならない声を発しようとする。
そこに1台の黒い車が来て
私はその車に無理やり乗せられた。
先輩は私の口を離して、こう言った。
「連れてきましたー♪」
........連れてきた?
なに?意味がわからない。
私は急いで降りようとしたけど
車の鍵はしまっている。
車の中には他の男が2人。
私、どうなるの.....??
